ひと目でその幻想的な佇まいに心を奪われる。神戸市兵庫区の「湊川隧道」は、明治時代に造られた日本初の河川トンネルだ。
街を分断して流れていた旧湊川による交通障害や、度重なる洪水被害を解消するために行われた川の付け替え工事により、明治34年(1901年)に完成。会下山を貫く600m以上の隧道は、なんとノミやツルハシによる手掘りであるというから驚きだ。
約400万個ものレンガは、一つ一つ手作業で、部位によって異なる積み方がされている。現在ではすでに河川トンネルとしての役割は終えているが、月に一度、内部の一般公開が行われ、当時の高い技術を伝える土木遺産として新たな使命を担っている。
レンガによる建造物は、しっかり建てれば千年近く持つという。明治の日本において、近代化へと駆け抜けた先人たちの偉業は、令和を経て、また次の世代へと受け継がれてゆくことだろう。
毎年1月17日には「鎮魂と希望の灯り」を開催。土木の日(11月18日)前後の日曜日には通り抜けイベントも行っている。湊川隧道への連絡通路には、資料の展示もある。また、一般公開日にはミニコンサートが行われる。
アクセスマップ
湊川隧道(会下山トンネル)/湊川(兵庫県神戸市)
一般公開日:毎月第3土曜日 13:00〜15:00
一般公開・イベントに関する問い合わせは下記まで
湊川隧道保存友の会
https://minatogawa-zuido.com
▼京都からのアクセス
京都市内より電車で約1時間40分、神戸市バス「熊野橋」バス停より徒歩約4分
※一般公開は呑口側で開催されますのでご注意ください。
※駐車場はありません。公共交通機関をご利用ください。
写真:湊川隧道保存友の会 写真、文:池内潤子