一面の雪景色に、灯籠の優しい光がふわりと浮かぶ。かやぶき屋根の家屋が数多く残る美山町北集落では、毎年、積雪量の多い時期に合わせ、「かやぶきの里 雪灯廊」が行われる。雪に覆われた里山は、モノクロの世界に変わり、まるで水墨画のような美しさだ。
小さなかまくらのような雪の灯籠は、訪れる人が自ら手づくりする。工夫が凝らされた大小さまざまの灯籠は、個性豊かで、眺めていると自然と顔が綻んでくる。あたりが薄暗くなると、かやぶきの家々や道端に並ぶ行灯に明かりがともり、一帯が幻想的な雰囲気に包まれる。
今年度で16回目を迎えるこの催しは、雪深い冬期にもこの地を訪れてほしい、という地域住民の想いから始まった。運営はすべて美山町民によるものだが、この地域は過疎化や高齢化が進み、現在のような規模での継続は限界に近づきつつあるという。降雪の量や時期もその年ごとで異なるため、ある時はうっすら雪化粧程度であったり、またある時は1mを超える積雪で歩くのがやっとであったり。同じ景色は二度と見ることができないというその儚さも、白銀に染まる里山の美しさをいっそう際立たせている。
雪の灯籠づくりは、子どもたちに人気。バケツとスコップの無料貸し出しもある。美山町民が手がける屋台に最終日には花火の打ち上げなど来訪者をもてなす山里の真心が溢れている。
アクセスマップ
かやぶきの里 雪灯廊/美山町北集落(京都府南丹市)
開催期間:2020年1月25日(土)〜2月1日(土)
問い合わせ:美山町自然文化村 TEL 0771-77-0014
https://www.yukitouro.jp/
▼京都からのアクセス
雪灯廊実行委員会主催の京都駅発着日帰りバスツアー、京阪京都交通の直通バスあり。詳細はお問い合わせください。
※自家用車でお越しの場合は、路面凍結に備えて冬用タイヤなどを装備し、運転には十分にご注意ください。
写真:雪灯廊実行委員会 文:池内潤子