京都五山の第三位、京都最古の禅寺として知られる建仁寺。その塔頭の一つに、両足院がある。本寺と同じく坐禅体験のできる寺としても知られるが、通常非公開のため、境内は静寂に包まれている。坐禅指導の伊藤副住職によると、坐禅は「する」ものではなく「なる」ものだという。大切なのは、今ここにある命を意識し、自身の体や呼吸を実感すること。心を無にすることにとらわれず、その心の束縛から自らを解放させるのである。
坐禅を体験した後には、建物内から庭園を眺めることができるが、じっくり見学するなら特別公開時に訪れるといいだろう。春から夏にかけては、半夏生(はんげしょう)が生い茂る池泉回遊式庭園が見どころだ。半夏生は、ドクダミ科の多年草。6月、細長い穂状の花が咲く時期に、そのすぐ下にある数枚の葉が白く変わるのが特徴である。ここにあるのは約800株。一面の緑に白のコントラストが美しく、訪れる者の目を楽しませる。
年々、暑さの増す京都。半夏生の涼やかな姿を眺め、初夏の爽やかな空気の中、心落ち着くひとときを過ごしてみてはいかがだろうか。
アクセスマップ
建仁寺 両足院(通常非公開)/東山(京都市東山区)
所在地:京都市東山区大和大路四条下ル小松町591
TEL/075-561-3216(受付時間10:00~16:00)
坐禅体験/2,000円(90分)※要予約
初夏の特別拝観/5月下旬〜7月上旬予定
※詳細はお問い合わせください
▼京都からのアクセス
京阪電車「祇園四条駅」より徒歩約7分、市バス「四条京阪」より徒歩約5分
https://ryosokuin.com/
文:池内潤子